MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)シリーズのフェーズ4に当たる映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
今回はこの映画の名言と名シーンを紹介します。
以前の記事ではMCU世界のキャラクターたちの名言を紹介しました。なので、今回は『スパイダーマン』三部作(サム・ライミ版)の世界からやってきたキャラクターたちに焦点を当てて、名言・名シーンをまとめていきたいと思います。
『スパイダーマン』三部作でもともと使われていたセリフをオマージュしたものが多いので、元になったセリフも合わせて紹介していきます。
セリフについては、日本語字幕・元の英語・日本語訳を紹介していきます。
映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』より
1.「太陽の力が私の手の中に」
オットー・オクタビアス / ドクター・オクトパス(アルフレッド・モリーナ)
The power of the sun in the palm of my hand.
字幕:太陽の力が私の手の中に
訳 :太陽の力が私の手のひらに
It’s gone.
字幕:それを失った
訳 :それはなくなってしまった
シーン:初めてスパイダーマンの元にドクター・オクトパスが現れたときのセリフです。ドクオクは目の前にいるスパイダーマンを自分の世界のスパイダーマンだと勘違いして、ピーターに襲いかかります。
この『太陽の力が私の手の中に』というセリフは、映画『スパイダーマン2』でドクオクが言っていたセリフになります。こういった過去作のオマージュは、ファンにとって嬉しいですよね。元になったシーンも紹介していきます。
オットー・オクタビアス / ドクター・オクトパス
The power of the sun in the palm of my hand.
字幕:太陽の力が私の手の中に(太陽の力を手に入れる)
訳 :太陽の力が私の手のひらに
シーン:彼は劇中で2回このセリフを言っています。1回目は、オットーが核融合エネルギーのデモンストレーションをしているシーンです。一見成功している様に見えたのですが、失敗に終わり、愛する奥さんを失うこととなります。さらに脊髄に装着した、人工知能を搭載した金属製のアームに精神を乗っ取られ、ドクター・オクトパスが誕生してしまいます。
その後、一時的に正気に戻ったオットーですが、再び金属アームに精神を乗っ取られてしまい、再度核融合エネルギーを作ろうと計画し、この言葉をまた口にします。
また、『ノー・ウェイ・ホーム』の終盤でも、もう1回このセリフを言います。
オットー・オクタビアス / ドクター・オクトパス
The power of the sun…
字幕:太陽の力が…
訳 :太陽の力が…
ピーター・パーカー / スパイダーマン(トビー・マグワイア)
In the palm of your hand.
字幕:手の中に
訳 :あなたの手のひらに
シーン:自由の女神での最終決戦で、エレクトロの胸に付いたアーク・リアクターを奪い返したときに、そのアーク・リアクターを見て再びこのセリフを口にします。アーク・リアクターを見て、自分が作りたかった新しい核融合エネルギーを思い出したのでしょう。
今回は『The power of the sun…』『太陽の力が…』まで言いかけたところで、サム・ライミ版のスパイダーマン(オットーと同じ世界のピーター)が表れ、その続きのセリフ『In the palm of your hand.』『あなたの手の中に』を言います。
セリフをよく見ると『In the palm of your hand』となっており、『my hand』ではなく『your hand』になっていますね。これはピーターがオットーに対して言っているからです。
そして、この後の2人のやり取りもまたいいんです。しかも、また過去作をオマージュしたセリフもあります。それでは、そのシーンも紹介していきましょう。
2.「元気か?」「努力してます」
オットー・オクタビアス / ドクター・オクトパス
Oh, it’s good to see you, dear boy.
字幕:会えてうれしいよ
訳 :おお 会えてうれしいよ 少年
ピーター・パーカー / スパイダーマン
It’s good to see you.
字幕:こちらこそ
訳 :お会いできてうれしいです
オットー・オクタビアス / ドクター・オクトパス
You’re all grown up. How are you?
字幕:大人になったな 元気か?
訳 :成長したな 調子はどうだ?
ピーター・パーカー / スパイダーマン
Trying to do better.
字幕:努力してます
訳 :頑張ってます
シーン:先ほどのピーターとオットーの再会シーンの続きになります。
元の世界では、オットーはドクター・オクトパスとしてスパイダーマンと戦い、最後は命を落とすことになってしまいます。なので、この2人が再会して会話しているというだけで、なんだか感慨深いものがありますね。
そして、最後のピーターのセリフ『Trying to do better.』に着目してください。これと全く同じセリフを、ピーターは過去作で口にしているのです。そのセリフを口にしたシーンがまたいいんです。紹介していきましょう。
オットー・オクタビアス
Now I remember you. You’re Connors’ student.
字幕:思い出した 君はコナーズの生徒だ
訳 :君を思い出したよ 君はコナーズの生徒だな
He tells me you’re brilliant. He also tells me you’re lazy.
字幕:優秀だと聞いている だが なまけ者だと
訳 :彼は君が優秀だと言うが なまけ者だとも言うよ
ピーター・パーカー / スパイダーマン
I’m trying to do better.
字幕:そんな…
訳 :僕は頑張ろうとしているんですが
映画『スパイダーマン2』で、ピーターとオットーが初めて出会った場面の会話です。
ここでは、コナーズ博士からピーターがなまけ者だという評判を聞いたオットーが、ピーターに少しお叱りをしています。そして、ピーターは『I’m trying to do better.』と返します。
『ノー・ウェイ・ホーム』では『Trying to do better.』だったので、こちらでは『I’m』が入っている形になっていますね。
初対面のときの会話と、再会を果たしたときの会話のセリフが同じという、過去作を見ていた人へのイースターエッグといったところでしょうか。
英語の解説
tryは目的語に不定詞をとるか動名詞をとるかで意味が異なります。
不定詞には『まだ起こっていないこと』という未来的なニュアンスがあり、動名詞には『すでに起こったこと』という過去的なニュアンスがあるため、それぞれ以下のような意味になります。
try to do
意味:~しようとする、~しようと試みる
try doing
意味:(試しに)~してみる
3.「私も科学をやってる」
ノーマン・オズボーン / グリーン・ゴブリン(ウィレム・デフォー)
I can help you.
字幕:手を貸そう
訳 :私は君を手伝えるよ
You know, I’m something of a scientist myself.
字幕:私も科学をやってる
訳 :私もちょっとした科学者なんだ
シーン:ピーターがマルチバースからやってきたヴィランたちを、地下に集めきったときのシーンです。ピーターは『ヴィランたちがスパイダーマンと戦い、命を落とす』という運命を変えたいと考え、彼らの治療薬を作ろうと考えます。
そのとき、ノーマン・オズボーンがひと言『You know, I’m something of a scientist myself.』『私も科学をやってる』と口にします。そして、自分にも手伝わせてくれと提案します。
おそらくですが、このときのセリフはグリーン・ゴブリンに支配されていないノーマンとしての言葉ではないかと考えられます。それは、このセリフのもとになったシーンをみると分かってきます。
ノーマン・オズボーン
Harry says you’re a science whiz.
字幕:君は科学が得意らしいね
訳 :ハリーが 君は科学のエキスパートだと言っていたよ
You know, I’m something of a scientist myself.
字幕:私も科学をやってる
訳 :私もちょっとした科学者なんだ
シーン:映画『スパイダーマン』で、ピーターとノーマンが初めて会ったシーンです。このシーンで『ノー・ウェイ・ホーム』と一字一句同じセリフを言っています。このときは、まだ2人ともスパイダーマンにも、グリーン・ゴブリンにもなっていません。
そうなんです!このときの言葉は、グリーン・ゴブリンになる前のノーマン・オズボーンの言葉なんです。なので、上で紹介した『ノー・ウェイ・ホーム』でも、このセリフを言ったノーマンは、グリーン・ゴブリンに洗脳されていない状態なのではないでしょうか。
映画を見ていて、『どのタイミングからゴブリンがノーマンを乗っ取っていたんだろう?』『いつからゴブリンはピーターを騙そうと画策していたのか?』と色々考えられますが、このセリフを言ったタイミングでは、まだ正気のノーマンだったのかもしれませんね。
英語の解説
something of a ~
意味:ちょっとした~
4.「おお 腰が」
ピーター・パーカー / スパイダーマン
Oh, it’s my back.
字幕:おお 腰が
訳 :おお 背中が
It’s kind of stiff from all the swinging, I guess.
字幕:スイングしすぎだな
訳 :スイングのしすぎで ちょっと凝っちゃったかな
シーン:自由の女神でスパイダーマンたちがヴィランを待っているときです。
トビー・マグワイア演じる初代スパイダーマン(ピーター2)とアンドリュー・ガーフィールド演じるアメイジング・スパイダーマン(ピーター3)が世間話をしているとき、ピーター2が『My back.』『腰が痛い』と言って、ピーター3がそれをほぐしてあげるシーンがありましたよね。
この『My back.』は初代スパイダーマンが好きな人にとっては、それはもう大好物なセリフで、『おお!このセリフを拾ってくるのか!』と、本当にグッときました!その元ネタとなったシーンも見ていきましょう。
ピーター・パーカー / スパイダーマン
I’m back!
字幕:(力が)戻った!
訳 :(力が)復活した!
My back.
字幕:腰が…
訳 :背中が…
シーン:映画『スパイダーマン2』で、ピーターはスパイダーマンの活動を続けることに疑問を抱きます。そんな中、スパイダーマンの能力を失ってしまい、ただのピーター・パーカーとして生き始めます。しかし、再びスパイダーマンとして生きることを決意した彼は、能力が戻っていない状態にもかかわらず、ビルの屋上からジャンプをします。
そして、ジャンプしたときに能力が戻り、彼は『I’m back!』『戻った!』という意味で『back』と言います。しかし、久しぶりの復活となったのでうまく飛ぶことができず、車の上に落下してしまいます。
そこで背中を強く打ってしまい、腰を痛めて『My back.』『腰が…』という意味で『back』と言います。『ノー・ウェイ・ホーム』では、後者の『腰が…』という意味の方をオマージュしているのです。
ピーターが『back』という言葉を使ってダジャレを言っているんですよね。トビー・マグワイア演じる初代スパイダーマンは、他のスパイダーマンに比べると真面目で、あまり冗談を言うタイプには見えないので、『戻った』と『腰が』という意味で『back』をかけて使っているのが、面白くて記憶に残っている人は多いのではないでしょうか。
英語の解説
副詞:back
意味:戻って
『I’m back!』のときはスパイダーマンの能力が戻ったことを言っているので、『戻って』という意味をもつ副詞のbackを使っています。
名詞:back
意味:背中、後ろ
『My back.』のときは背中(腰)を強く打ってしまい『僕の背中が…』と言っているので、『背中』という意味をもつ名詞のbackを使っています。
5.「大いなる力には…」「大いなる責任が伴う」
ピーター1(トム・ホランド)
She told me that with great power…
字幕:大いなる力には…
訳 :彼女が僕に言ったんだ 大いなる力には…
ピーター2(トビー・マグワイア)
Comes great responsibility.
字幕:大いなる責任が伴う
ピーター1
Wait, what? How do you know that?
字幕:なぜそれを?
訳 :待って なんで君はそれを知っているの?
ピーター3(アンドリュー・ガーフィールド)
Uncle Ben said it.
字幕:ベンが言った
訳 :ベンおじさんがそれを言ったんだ
ピーター2
The day he died.
字幕:死んだ日に
訳 :彼が死んだ日に
シーン:3人のスパイダーマンが初めて集合したシーンです。
メイおばさんを失い、悲しみと怒りに打ちひしがれているMCU版のピーター(ピーター1)が、メイおばさんが残した言葉『大いなる力には…』を口にしたときに、サム・ライミ版のピーター(ピーター2)が『大いなる責任が伴う』と返します。そして、ウェブ版のピーター(ピーター3)が『ベンおじさんがそれを言ったんだ』と言います。
さらに公開された脚本には、この後に以下のようなト書き(心情描写や場面設定)が書かれていました。
The three Peter Parkers stare at each other, overwhelmed by this uncanny connection.
訳 :3人のピーター・パーカーは この不思議な縁に驚き圧倒され お互いを見つめ合う
Bound together across universes by those words.
訳 :この言葉によって 彼らはユニバースを超えて結束する
英語の『those words』は『大いなる力には大いなる責任が伴う』のことを指しているのが分かりますね。
ピーター1はメイおばさんを亡くしたばかりで、立ち直れないような状態でした。しかし、この言葉がきっかけで2人のピーターを信頼することができました。すごく良いト書きですね。
初めて出会ったスパイダーマン3人が、あの言葉で結束する…いいですね!これまでスパイダーマンシリーズを見てきた人は、誰しも胸が熱くなったシーンなのではないでしょうか。
サム・ライミ版の『スパイダーマン』三部作では、この『With great power comes great responsibility.』『大いなる力には大いなる責任が伴う』を、ベンおじさんがピーターに言いました。
『ノー・ウェイ・ホーム』で、メイおばさんが言ったセリフは『With great power, there must also come great responsibility.』となっていて、若干の違いがあります。しかし、日本語字幕は同じく『大いなる力には大いなる責任が伴う』でした。この違いが知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しておりますのでよければご覧ください。
また『アメイジング・スパイダーマン』シリーズでは、『大いなる力には大いなる責任が伴う』というフレーズ自体は登場していませんが、似たようなニュアンスの言葉をベンおじさんがピーターに言っています。
英語の解説
倒置
英語には基本的な文法がありますが、この基本的な文法の語順を変えることを『倒置』と言います。
『スパイダーマン』版のセリフを『倒置あり』と『倒置なし』で比較してみると、以下のようになります。また、分かりやすいように主語、動詞、副詞句を色分けしています。
倒置あり:With great power comes great responsibility.
倒置なし:Great responsibility comes with great power.
最後に
映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の名言・名シーンをまとめました。まだまだ名言はあるのでまた記事を作っていきたいですね。
今回は『スパイダーマン』三部作(サム・ライミ版)のキャラクターたちの名言・名シーンをまとめました。サム・ライミ版のスパイダーマンが大好きなので、『ノー・ウェイ・ホーム』で多くのセリフをオマージュしてくれて、本当に嬉しかったです。ファンにとってはたまりませんね。
またMCUの名言を紹介していきたいと思います。
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(参照2022/10/08)
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