映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015年)より
原題『Avengers: Age of Ultron』
ウルトロンとアベンジャーズが相対したときにウルトロンがジョーク・ダジャレっぽいことを言っているのですが、日本語字幕は英語の本来の意味とは違っていました。
英語でも同じくジョークを言っているのですが、英語のことわざを使っているので、それが原因なのか日本語字幕は別の表現になっていました。
しかし、吹き替えは英語にかなり近いものになっていました。そちらも紹介していきます。
今回はそのシーンの英語の解説と、使われた英語のことわざを紹介していきたいと思います。
この記事を読んだら、ウルトロンが人間っぽくて、賢いがゆえに難しい表現を好んでいるのが分かって、より好きになると思います。
英語の意味を知ることで映画の理解がより深まると思います。一緒に楽しく英語を学んでいきましょう。
映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
英語のことわざを紹介
You can’t make an omelet without breaking eggs.
卵を割らないで オムレツを作ることはできない
オムレツを作るには卵を割らなければなりませんね。このことわざは『何かを達成するには、何らかの犠牲が必要だ』という意味になります。
このことわざに『break:割る、壊す』という単語が使われているのを覚えておきましょう。
ジョークを言ったシーンの比較
トニー・スターク / アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)
You’re gonna break your old man’s heart.
字幕:父親を傷つけるな
吹替:パパのハートは割れそうだ
訳 :お前は父親を傷つけてしまうぞ
ウルトロン(ジェームズ・スペイダー)
If I have to.
字幕:痛めつけたら?
吹替:割ってやろうか?
訳 :もしそうしないとならないならな
ソー(クリス・ヘムズワース)
Nobody has to break anything.
字幕:痛めるな
吹替:何も割る必要はない
訳 :誰も何も壊す必要はない
ウルトロン
Clearly you’ve never made an omelet.
字幕:卵炒めも?
吹替:それじゃあオムレツはできないぞ
訳 :オムレツを作ったことがないんだな
1.字幕版
トニー:父親を傷つけるな
ウルトロン:痛(いた)めつけたら?
ソー:痛(いた)めるな
ウルトロン:卵炒(いた)めも?
字幕では『break:割る、壊す』を『いためる』と訳して、言葉遊びをしていますね。ダジャレっぽくなっています。
2.吹き替え版
トニー:パパのハートは割れそうだ
ウルトロン:割ってやろうか?
ソー:何も割る必要はない
ウルトロン:それじゃあオムレツはできないぞ
吹き替えでは『割る』という言葉を使って言葉遊びをしていますね。
ウルトロンの『それじゃあオムレツはできないぞ』は、ソーの『何も割る必要はない』に対する揚げ足取りですね。ソーに対して『卵を割らないと、オムレツはできないぞ』と言いたいのでしょう。吹き替えはもとの英語に近い感じですね。
また、これは先ほど紹介した英語のことわざを引用しているのが分かりますね。
You can’t make an omelet without breaking eggs.
卵を割らないで オムレツを作ることはできない
3.英語版と日本語訳
トニー・スターク / アイアンマン
You’re gonna break your old man’s heart.
訳 :お前は父親を傷つけてしまうぞ
ウルトロン
If I have to.
訳 :もしそうしないとならないならな
ソー
Nobody has to break anything.
訳 :誰も何も壊す必要はない
ウルトロン
Clearly you’ve never made an omelet.
訳 :オムレツを作ったことがないんだな
ウルトロンの『Clearly you’ve never made an omelet.:オムレツを作ったことがないんだな』が、ソーの『Nobody has to break anything.:誰も何も壊す必要はない』に対する揚げ足取りになっていますね。
字幕では『いためる』で言葉遊びをしていましたが、英語と吹き替えでは『break:壊す』で言葉遊びをしています。
このウルトロンのセリフは、先ほど紹介したことわざを引用していますね。つまり、ウルトロンは『お前はこれまでの成功で、犠牲を出していないんだな?』と嫌味っぽく言ってるんでしょう。
最後に
日本語字幕からは分からない、英語のジョークを言っているシーンの解説になりました。
英語のことわざ『You can’t make an omelet without breaking eggs.:卵を割らないで オムレツを作ることはできない』を引用して、ウルトロンが揚げ足を取っていたことが分かりますね。
ウルトロンはAIであり、豊富な知識があります。きっとことわざや慣用句だってたくさん知っているに違いありません。しかし、それをAIが上手く使えるのかどうかは、少し分からないところがありますね。
このシーンを見ると、ウルトロンがことわざを使って相手を馬鹿にしているのが伺えます。賢い人はことわざや慣用句を用いて話すことがありますよね。それと同じだと思います。言い方が悪いと『AIが難しいことわざ使ってマウントを取っている』といったところでしょうか。すごく面白いですね。
このことわざは英語のことわざで、日本語には同じことわざがないため、日本人にも伝わるように字幕は『いためる(痛める、炒める)』という表現で、ダジャレっぽくしたのでしょう。
吹き替えはそのままの英語に近い表現になっていましたね。
吹き替え版と英語版は、もとのことわざを知っているとより楽しめるシーンだと思います。こういうことに気付けると面白いですよね。知的興奮を覚えます。
こういった意訳されているシーンや、もとの英語を確認しないと分からないシーンを見つけたら、また記事にしたいと思います。
この記事を読んで、英語って楽しい!英語の勉強をしたくなった!って感じてもらえたら嬉しいです。
では、また英語解説の記事で会いましょう。
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(参照2023/04/19)
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