MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)シリーズのフェーズ4に当たる映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
今回はこの映画の名言と名シーンを紹介します。
セリフについては、元の英語・日本語字幕・日本語訳を紹介していきます。
映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』より
1.「私が変えさせない」
オコエ(ダナイ・グリラ)
Our foremothers gave us the spear because it is precise, elegant and deadly.
字幕:槍が代々伝わるのは 正確で優雅だから しかも必殺
訳 :我々の先祖が我々に槍を与えたのは それが正確で優雅で致命的だからだ
It will not change under my watch.
字幕:私が変えさせない
訳 :それは私が見ている限り変わることはない
シーン:ワカンダの支援センターがヴィブラニウムを狙う襲撃者に襲われたシーンです。待ち構えていたドーラ・ミラージュが彼らを迎撃しますが、アネカはいつもの槍ではなくシュリから渡されたダガーのような武器を使っていました。それを見た隊長のオコエは代々伝わる槍を使うようにとアネカを𠮟ります。
国に忠誠を誓い、伝統を重んじるオコエらしいセリフですね。『under my watch:私が見ている限り』という言い方がカッコイイ!
英語の解説
第4文型(SVOO)
1つ目のセリフの主節は第4文型の形になっており、分類すると以下のようになります。
Our foremothers gave us the spear.
訳:我々の先祖は我々に槍を与えた
S(主語):our foremothers
V(動詞):gave
O1(目的語):us
O2(目的語):the spear
接続詞:because
意味:なぜなら、~だから
原因・理由を表す副詞節を導く従属接続詞で、文と文(節と節)を繋ぎます。
セリフでは主節『our foremothers gave us the spear』と副詞節『(because) it is precise, elegant and deadly』を繋いでいます。
Our foremothers gave us the spear because it is precise, elegant and deadly.
訳:我々の先祖が我々に槍を与えたのは それが正確で優雅で致命的だからだ
2.「偉大な指導者は痛みを知る者だ」
ネイモア(テノッチ・ウエルタ・メヒア)
My ancestors would often say,
字幕:俺の先祖はよく言ってた
訳 :俺の先祖がよく言っていたものだ
“Only the most broken people can be great leaders.”
字幕:偉大な指導者は痛みを知る者だ
訳 :最も傷ついた者だけが偉大な指導者になれる
シーン:ネイモアがシュリにタロカン帝国の様子を見せた後、タロカンが地上に侵攻するためにワカンダも手を組まないかと提案するシーンです。
ネイモアもシュリと同じく大切な人を失っており、かつ国と民を守るために戦っています。ネイモアは今作のメインヴィランではありますが、悪というわけではなく自分の正義のために戦っているのがいいですよね。
英語の解説
『would (often)』と『used to』の違い
助動詞:would (often)
意味:よく~したものだ
現在のことに着眼点は置いてはおらず、単純に過去の習慣を表しているだけです。なので、現在はそれがどうなっているのかまでは分かりません。
助動詞表現:used to
意味:以前はよく~していた、以前は~だった
過去の習慣・過去の状態を表します。『以前はよく~していたが、今はしていない』という感じに過去と現在を対比しており、今は昔と違うというニュアンスを含んでいます。
セリフでは『would often』が使われています。
My ancestors would often say,
訳:俺の先祖がよく言っていたものだ
形容詞:broken
意味:壊れた、傷ついた
原級-比較級-最上級:broken – more broken – most broken
セリフでは最上級『most broken』が使われています。字幕では『痛みを知る』と訳されていてカッコイイですね。
最上級の表現には、冠詞theも付け忘れないように注意しましょう。
Only the most broken people can be great leaders.
訳:最も傷ついた者だけが偉大な指導者になれる
3.「でも私には 彼がすべてだった」
ナキア(ルピタ・ニョンゴ)
He was… King and Black Panther to everyone.
字幕:彼は 国民の王でブラックパンサーだった
訳 :彼は 皆にとっては国王でブラックパンサーだった
But to me… he was everything.
字幕:でも私には… 彼がすべてだった
訳 :でも私にとっては 彼が全てだった
シーン:ワカンダに戻ったナキアがオコエと再会したシーンです。なぜワカンダを去って、ティ・チャラの葬儀にも顔を出さなかったのか、ナキアが自分の思いを語ります。ナキアにとってティ・チャラはたった1人の愛する人で自分の全てだったので、彼の死を受け入れることができなかったのでしょう。
英語の解説
『a king』と『King』の違い
a king:1人の王
King:王という肩書き・役職
名詞kingは無冠詞で頭文字を大文字にすることで『王という肩書き・役職』を表すことができます。
He was King and Black Panther to everyone.
訳:彼は 皆にとっては国王でブラックパンサーだった
代名詞
代名詞は人称や単数・複数でどれを使うかが決まっており、さらに文中での役割によって主格・所有格・目的格・所有代名詞と分けられます。
目的格の使い方はいまいちよく分かっていない人が多く、学校などでは『~を、~に』と習うのですが、それだと通じない場合も多いです。
正しくは、目的格は動詞や前置詞の目的語として使うものなので、動詞や前置詞の後ろに置くと覚えておきましょう。セリフでは前置詞toの目的語として使われています。
But to me, he was everything.
訳:でも私にとっては 彼が全てだった
4.「あなたが何者か示しなさい」
ラモンダ(アンジェラ・バセット)
Show him who you are!
字幕:あなたが何者か示しなさい
訳 :あなたが何者なのか 彼に示しなさい
シーン:シュリがネイモアを追い詰めたシーンです。そのときシュリは一瞬、先祖のいる場所に意識がいきました。そこで亡き母ラモンダがシュリに『Show him who you are!:自分が何者か示しなさい』と伝えます。
それまでシュリは復讐に駆られてネイモアを殺そうと考えていましたが、母のこの言葉によって我に返ります。シュリがブラックパンサーとして、ヒーローとして目覚めるきっかけとなった言葉なのだと思います。
英語の解説
第4文型(SVOO)
このセリフは第4文型の形になっており、分類すると以下のようになります。命令文なので主語(S)はありません。
Show him who you are!
訳:あなたが何者なのか 彼に示しなさい
S(主語):なし
V(動詞):show
O1(目的語1):him
O2(目的語2):who you are
間接疑問文
セリフ:who you are
意味:あなたが何者であるか
作り方:疑問詞 S V ~
間接疑問文は疑問詞の後に『S V ~』と、肯定文の語順で文を続けて名詞節を作ります。セリフでは疑問詞whoの後に肯定文の語順で文が置かれています。
間接疑問文は名詞節を作るので目的語に置くことができます。セリフでは第4文型(SVOO)の文の2つ目の目的語(O2)になっています。
この『Show him who you are!』というセリフは、映画『ブラックパンサー』でもラモンダが言っていました。
挑戦の儀式でティ・チャラとエムバクが戦っているときに、負けそうになったティ・チャラを鼓舞するために、母ラモンダが『Show him who you are!:あなたが何者か示しなさい』と言いました。この言葉を聞いたティ・チャラは力を振り絞ってエムバクを圧倒し、戦いに勝利します。
ラモンダ
Show him who you are!
字幕:あなたが何者か示しなさい!
訳 :あなたが何者なのか 彼に示しなさい!
ティ・チャラ / ブラックパンサー(チャドウィック・ボーズマン)
I am Prince T’Challa… son of King T’Chaka!
字幕:私はティ・チャラ ティ・チャカの息子だ
訳 :私は王子ティ・チャラ 国王ティ・チャカの息子だ!
ラモンダの『Show him who you are!』は、どちらの作品でもとても重要なシーンで使われているのが分かりますね。
映画『ブラックパンサー』では、ティ・チャラを勝利に導く言葉に、映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』では、復讐に駆られていたシュリが我に返るきっかけとなる言葉となっています。この言葉は母ラモンダが2人の子供、息子と娘に与えた言葉なんですね。
5.「私たちの復讐に 民を巻き込んではいけない」
シュリ / ブラックパンサー(レティーシャ・ライト)
Vengeance has consumed us.
字幕:私たちの復讐に
訳 :復讐心が私たちを蝕んでいる
We cannot let it consume our people.
字幕:民を巻き込んではいけない
訳 :私たちは復讐に国民を巻き込むことはできない
シーン:先ほどのシーンの続きです。母の言葉を受け、ワカンダの国民やタロカンの国民のことを思い出し、復讐心に囚われていたシュリは我に返ります。
シュリもネイモアも国民を思う国王です。その王が大切な国民を復習に巻き込んではいけないと、シュリはネイモアに告げて、和平を結ぶ道を選択することになります。
英語の解説
『復讐』を表す単語
動詞・名詞:revenge
意味:復讐する(動詞)、復讐(名詞)
revengeは『個人的な恨みによる復讐』というニュアンスで、動詞または名詞として使えます。
動詞:avenge
意味:復讐する
avengeは『正義のための復讐』というニュアンスで、動詞としてしか使えません。
アベンジャーズの『avenger』はこの動詞から作られた『復讐者』という意味の名詞です。
名詞:vengeance
意味:復讐、仇討ち
vengeanceは主に『正義のため、他人のための復讐』というニュアンスで、名詞としてしか使えません。
また『仇討ち』という意味でもあるため、母の仇を討ちたいと思っているシュリはこちらを使ったのでしょう。
『Vengeance has consumed us.:復讐心が私たちを蝕んでいる』というセリフとほぼ同じセリフを、兄ティ・チャラも言っています。
映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で、ティ・チャラが事件の黒幕であるジモを追い詰めたシーンです。
それまでティ・チャラも父を殺された恨みから復讐心に駆られていましたが、同じく復讐心に駆られているジモの話を聞き、復讐の連鎖を断ち切らなければならないと思い直します。そして、自害しようとするジモを止め、生きて罪を償うように言います。
ティ・チャラ / ブラックパンサー
Vengeance has consumed you.
字幕:復讐の虜か
訳 :復讐心があなたを蝕んでいる
I am done letting it consume me.
字幕:私は終わりにする
訳 :私はもう復讐に囚われるのはやめる
兄ティ・チャラは『Vengeance has consumed you.』、妹シュリは『Vengeance has consumed us.』と、ほぼ同じセリフを言っています。
そして、2人とも復讐心に駆られて我を忘れていましたが、この言葉を言って思い直しています。2人の兄妹が復讐心から解放され、ヒーローとなった言葉だと考えると感動的ですね。
最後に
映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の名言・名シーンをまとめました。まだまだ名言はあるのでまた記事を作っていきたいですね。
またMCUの名言を紹介していきたいと思います。
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(参照2023/06/28)
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