映画『美女と野獣』(1991年)より
原題『Beauty and the Beast』
映画『美女と野獣の』を日本語吹き替えと英語音声の両方で何度も見ていたら、日本語吹き替えの方がいい表現だと思った箇所がありました。
2人の舞踏会が終わり、野獣が魔法の鏡を渡してベルを解放するシーンです。
今回はそのセリフを紹介し、そこに使われた英語表現を解説したいと思います。
英語表現は中学英語レベルです。そんなに難しい英単語はありません。
ディズニーが好きな人が、この記事を通して楽しく英語の勉強・英語学習をできたらと思います。
映画『美女と野獣』(1991年)より
「私の気持ちを分かってくださって ありがとう」
野獣
Take it with you so you’ll always have a way to look back and remember me.
吹替:持っていけ これからきっと役に立つし ここを思い出せる
字幕:持っていくといい この城と私を思い出して
訳 :それを持っていくんだ そうすればいつでも振り返って私を思い出せる
ベル
Thank you for understanding how much he needs me.
吹替:私の気持ちを分かってくださって ありがとう
字幕:父もどんなに喜ぶか
訳 :彼(父・モーリス)がどれだけ私を必要としているか 分かってくれてありがとう
日本語吹替を見ていきましょう。
【吹替】
野獣:持っていけ これからきっと役に立つし ここを思い出せる
ベル: 私の気持ちを分かってくださって ありがとう
吹替を見ると、野獣は渡した鏡について『役に立つ』そして『ここを思い出せる』と伝えています。このセリフから、ベルを想う野獣の優しさが伝わってきます。
また、後の英語版と比較すると、ベルに城を出てほしくないという本音も含まれているように感じられ、強がりを言っているようにも感じられます。
一方、ベルは野獣が彼女の気持ちを理解してくれたことに感謝を伝えています。『私の気持ち』とだけ述べており具体性はありませんが、視聴者にとっては広い意味で野獣がベルを理解したのだと解釈できますね。
こう見ると、日本語吹替はあまり具体的な言い方をせず、少し遠回しな言い方をしています。
英語の訳を見ていきましょう。
【英語の訳】
野獣:それを持っていくんだ そうすればいつでも振り返って私を思い出せる
ベル: 彼(父・モーリス)がどれだけ私を必要としているか 分かってくれてありがとう
英語版では、野獣の『私を思い出せる』というセリフが印象的です。自分を想ってほしいという野獣の感情が、直接的に表現されています。これは少し情けなくも感じられますが、人間味があり、彼の不安や孤独感を強調している様に思えます。
また、ベルも父の気持ちに具体的に触れており、2人のやり取りが日本語版よりも詳細に描かれています。
吹替版と英語版を比較すると、日本語の方が遠回しな言い方をしているため、視聴者が自由に解釈できる余地があります。一方、英語版は具体的な内容を表現しており、キャラクターの感情が直接的に伝わる特徴があります。
このシーンでは、遠回しな表現の吹替の方が物語の余韻を感じさせ、印象に残ると感じました。
なので、このシーンは吹替の方が良いなと思いました。こういった吹替と英語で違いがあるシーンを考察するのは楽しいですね。
英語の解説
等位接続詞
接続詞:so ~
意味:そうすれば~だ
使い方:1文 so 1文.
接続詞は文と文(節と節)を繋ぐことができます。
Take it with you so you’ll always have a way to look back and remember me.
訳 :それを持っていって そうすればいつでも振り返って私を思い出す方法を持てる
セリフのように『Take it with you:それを持っていって』という命令文と、もう1文を接続詞soがつないでいます。
『命令文 so 1文』の形はよく使われるので覚えておきましょう。
不定詞の形容詞的用法
作り方:to 動詞の原形 ~
使い方:名詞+不定詞
意味:~する、~するための
不定詞の形容詞的用法は、修飾したい名詞の後ろに置きます。
you’ll always have a way to look back and remember me
直訳:あなたはいつでも 振り返って私を思い出す 方法を持てる
名詞『a way:方法』を不定詞『to look back and remember me:振り返って私を思い出す』が修飾しています。
Thank you for ~
フレーズ:Thank you for ~.
意味:~にありがとう
『~』の部分には名詞が入ります。このセリフでは動名詞が入っています。
『Thank you for 名詞』で名詞が置かれるとは考えずに、前置詞『for』の目的語が名詞だと考えるのがオススメです。
動名詞
作り方:doing ~
意味:~すること
セリフ:understanding how much he needs me
訳 :彼がどれだけ私を必要としているか理解すること
『understanding』の目的語に『how much he needs me:彼がどれだけ私を必要としているか』が置かれています。この部分は間接疑問文になります。
間接疑問文
作り方:疑問詞+肯定文
間接疑問文は疑問詞の後に肯定文の文続けて、名詞節を作ります。
セリフ:how much he needs me
訳 :彼が私をどれだけ必要としているか
セリフでは『understanding』の目的語となっています。このように間接疑問文は名詞節を作るので目的語に置くことができます。
最後に
映画『美女と野獣』で、吹替の方が英語よりいいと感じられるシーンでした。あくまで私個人的な善し悪しですが、日本語の方がハッキリと言ってない点が好きです。やはり日本人はハッキリとものを言うより、少し遠回しの方が好きな人種だと思うので、私もそれにならって吹替の方がいいなと感じました。もちろん『英語の方がいい!』と感じるシーンもあるので、必ずしも吹替の方がいいとは言い切れませんね。
吹替・英語の両方で映画を見ると、2つの視点で作品を楽しむことができるので楽しいです。今後も吹替と英語での違いや『こっちのほうがいい!』という内容で記事を書いていきたいと思います。
この記事を読んで、英語って楽しい!英語の勉強をしたくなった!って感じてもらえたら嬉しいです。
では、また英語解説の記事で会いましょう。
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(参照2024/12/10)
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