映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)より
原題『Avengers: Endgame』
はじめに
映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』のサウンドトラックの曲名を、英語から日本語訳していきます。訳しながらどのシーンで使われていたかを思い出して、映画に対する思いを巡らせようと思います。
最初に記事を書いたときは映画公開の直後だったので色々と抜けもありましたが、何回も見ているうちに気付けることも多々あったので、色々と追記や修正をしています。
曲数が計35曲もあるので、Part.1~3の合計3つの記事に分けてまとめていきます。こちらの記事はPart.2になるので13~24曲目までを紹介していきます。
音楽:アラン・シルヴェストリ(Alan Silvestri)
アラン・シルヴェストリ氏はMCUの作品に多く携わっています。フェーズ1~3の間では以下の通りです。
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』
『アベンジャーズ』
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
また、MCUに限らず多くの映画に携わっています。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズなどの音楽も手掛けています。
タイトルと日本語訳
No. | タイトル | 日本語訳 |
13 | Watch Each Other’s Six | 互いの背後に気を付けろ |
14 | I Can’t Risk This | 危険にさらせない |
15 | He Gave It Away | ストレンジは手放した |
16 | The Tool of a Thief | 泥棒の道具 |
17 | The Measure of a Hero | 良き人 ヒーローとは |
18 | Destiny Fulfilled | 運命は全うされた |
19 | In Plain Sight | まる見えだ |
20 | How Do I Look? | どう見えますか? |
21 | Whatever It Takes | 何を犠牲にしても |
22 | Not Good | それじゃダメなんだ |
23 | Gotta Get Out | 逃げなければ |
24 | I Was Made for This | 僕の役目だ |
今回は、キャラクターが言ったセリフがそのまま曲名になっていたり、セリフの一部に曲名が入っていたりするものが多いです。どのシーンで誰が言ったのかも含めて、紹介していきます。
小ネタ・解説
13. Watch Each Other’s Six 互いの背後に気を付けろ
2014年のモラグで、ソウル・ストーン回収のためにヴォーミアに向かうナターシャとクリントに、ローディが『気を付けろよ』といった意味合いで言っています。
ローディ / ウォーマシン(ドン・チードル)
You guys watch each other’s six.
字幕:互いを守れ
訳 :お前たち 互いの背後に気を付けろよ
英語の解説
・watch your six
意味:背後に気を付けろ
正面を12時の方向としたときに背後は6時の方向なので、『6時の方向に気を付けろ=背後に気を付けろ』というニュアンスになります。
セリフだとyoursの部分がeach other’s(お互いの)になっています。
14. I Can’t Risk This 危険にさらせない
2012年のニューヨークで、バナーがタイム・ストーンを借りようと『生き残って石を返すと約束します』と言いますが、エンシェント・ワンは『そんな約束で現実を危険にさらせません』と返します。
エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)
I can’t risk this reality on a promise.
字幕:口約束だけでは
訳 :私はそんな約束で現実を危険にさらせません
15. He Gave It Away ストレンジは手放した
先程の会話の後、エンシェント・ワンは『至高の魔術師として石を守る義務があります』と言いますが、バナーはストレンジが石を手放したことを言います。
ブルース・バナー / ハルク(マーク・ラファロ)
Then why the hell did Strange give it away?
字幕:ストレンジは手放した
訳 :では なぜストレンジは石を手放したのでしょうか?
エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)
What did you say?
字幕:今何と?
訳 :何と言いました?
ブルース・バナー / ハルク(マーク・ラファロ)
Strange. He gave it away. He gave it to Thanos.
字幕:サノスに渡したんです
訳 :ストレンジ 彼は石を手放したんです 彼はサノスに石を渡したんです
ストレンジが石を手放したことを知ったエンシェント・ワンは『ストレンジは秀でた魔術師』と言い、勝算があることを信じ、バナーに石を託します。
この時点(2012年)ではストレンジはまだ魔術師にすらなっていないのに、じきに優秀な魔術師になることが分かっているあたりが、流石タイム・ストーンの守護者であるエンシェント・ワンって感じがしますね。
英語の解説
・give away
意味:手放す、渡す
16. The Tool of a Thief 泥棒の道具
2014年のモラグで、ネビュラは気絶したスター・ロードから拝借した道具を使ってオーブの部屋の扉を開けます。
ローディ / ウォーマシン(ドン・チードル)
What’s that?
字幕:何だ?
訳 :それは何だ?
ネビュラ(カレン・ギラン)
The tool of a thief.
字幕:泥棒の道具
このとき1人で踊っているスター・ロードをローディが殴って気絶させるのですが、ウォーマシンの装甲で殴っているのでめっちゃ痛そう…
17. The Measure of a Hero 良き人 ヒーローとは
自分の在り方に迷っているソーに、母フリッガがこのように言います。
フリッガ(レネ・ルッソ)
The measure of a person, of a hero, is how well they succeed at being who they are.
字幕:良き人 ヒーローとは ありのままの自分を受け入れること
訳 :人やヒーローの尺度は その人が自分自身になることにどう成功したかよ
ソーが映画の最後にガーディアンズと共に自分探しの旅に出るのも、この母の助言がきっかけになっているのでしょう。ソーが続編の映画『ソー:ラブ&サンダー』でどのように変わっていくかも楽しみですね。
18. Destiny Fulfilled 運命は全うされた
現在のネビュラと過去のネビュラがリンクしてしまい、サノスがアベンジャーズの計画を知るシーン。自分の行く末を見てサノスがこう言います。
サノス(ジョシュ・ブローリン)
And that is destiny fulfilled.
字幕:運命は全うされた
訳 :そして 運命は果たされた
過去のサノス(2014年)が、未来の自分がインフィニティ・ストーンを使って自分の使命を達成できたことを知ります。そして、それを取り戻そうとするアベンジャーズの存在も確認し、阻止すべく動き出します。
19. In Plain Sight まる見えだ
1970年のニュージャージー州のシールド基地で、トニーとスティーブがキューブを探しているシーン。隠しエレベーターを発見した際にスティーブがこう言います。
トニー・スターク / アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)
Where do you hide it?
字幕:どこに隠す?
訳 :キューブをどこに隠す?
スティーブ・ロジャース / キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)
In plain sight.
字幕:見える所に
訳 :まる見えだ
20. How Do I Look? どう見えますか?
過去のネビュラが現在のネビュラから頭の金属パーツを奪って装着し、サノスにどう見えるかを尋ねます。そして、現在のネビュラに成りすましてアベンジャーズのもとへ…
ネビュラ(カレン・ギラン)
How do I look?
字幕:どう見えますか?
訳 :私はどう見えますか?
21. Whatever It Takes 何を犠牲にしても
予告でも何度も使われていたセリフです。本編ではナターシャとクリントがソウル・ストーンを手に入れる際に、どちらが命を差し出すのか?という場面で、お互いにこのセリフを言っていました。
ナターシャ・ロマノフ / ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)
Whatever it takes.
字幕:何を犠牲にしても
訳 :何としてでも
クリント・バートン / ホークアイ(ジェレミー・レナー)
Whatever it takes.
字幕:何を犠牲にしても
訳 :何としてでも
この『Whatever it takes.』『何を犠牲にしても』というセリフについてはこちらの記事で詳しくまとめています。
22. Not Good それじゃダメなんだ
ナターシャとクリントが互いに自分の命を差し出そうとしているシーンで使われていいました。おそらくクリントが、ナターシャが命を差し出したことに対して『Not Good』『それじゃダメなんだ』と感じていたのでしょう。
23. Gotta Get Out 逃げなければ
サノス軍の襲撃によって、アベンジャーズの本拠地は崩壊することになります。瓦礫の下に生き埋めになってしまったローディとロケットに、バナーが『ここから逃げるんだ』と言っていました。ここのセリフが曲名と似ています。
ブルース・バナー / ハルク(マーク・ラファロ)
Rhodey, Rocket, get outta here.
字幕:早く逃げろ!
訳 :ローディ ロケット ここから出るんだ
崩れゆくアベンジャーズの本拠地から逃げ出さなければいけない。ロケットたちが押しつぶされていたのでこのことを指す?
英語の解説
・短縮形 gotta
元の形:have to
意味:~しなければならない
助動詞mustと同じような意味をもち、to以降は不定詞となるため動詞の原形が置かれます。
・短縮形 outta
元の形:out of
意味:~の外へ
これら2つの短縮形は、どちらも主に会話で使われる口語になります。
24. I Was Made for This 僕の役目だ
ナノ・ガントレットが完成し、誰が指パッチンをするかという場面で、バナーがこう言って名乗り出ます。
ブルース・バナー / ハルク(マーク・ラファロ)
It’s like… I was made for this.
字幕:だからこれは… 僕の役目だ
訳 :まるで 僕はこのために作られたようだ
バナーは致死量のガンマ線を浴びましたが、生き残ることができ、その結果ハルクが生まれました。インフィニティ・ストーンからもガンマ線が発せられており、同じガンマ線なら僕の役目だということで、バナーが指パッチンを行うことになります。
曲名が『I was “made” for this.』となっているので、主語は機械などの物なのかな?と勘ぐってしまいましたが、バナー的にはハルクは作られた存在(made)なのでしょう。ハルクが『生まれた』という感覚だったら『I was “born” for this.』になっていたのではないでしょうか。
おわり
サントラの曲名を日本語訳し、解説してみました。訳していく中で、映画の内容を思い出せるのが楽しいですね。
この記事で初めて、曲がどのシーンで使われているのか?どういった意味なのか?ということを考察しました。驚いたのが、単純にセリフがそのまま曲名になっているものが多いということです。
この記事の後に、他の映画のサントラ記事をいくつか作ってみて気付いたのですが、同じようにセリフが曲名になっているものがけっこう多いです。それを探していると意外な名言を発見できたりして面白いですね。
今回は35曲中の13~24曲目までを解説しました。他の記事へのリンクはこちらです。
それでは、また次の記事で会いましょう!
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BD・DVD:アベンジャーズ/エンドゲーム
https://marvel.disney.co.jp/movie.html
(参照2019/04/27)
How do I look?はネビュラ(2014)が頭に現代ネビュラのプレートをつけて会いに行った時のことだと思います。
また、Worth itの「価値がある」は場面的にはサノスvsBIG3で合ってますけど、意味的にはキャプテンがムジョルニアを持てたことを指していると思います。
コメントありがとうございます。
確認したら、2014年のネビュラがプレートを盗んだ際にこのHow do I look?のタイトルと同じセリフを言っていました!
Worth itは、そうですね、キャプテンがムジョルニアを持つに値することを指してそうですね、言われて気付けました。
教えてくださり、ありがとうございます!記事も修正しておこうと思います。
また何かありましたら、よろしくお願いします~!